ルーローのトライアングル・スツール

ドイツ人フランツ・ルーローが開発した三角形を元にした底辺が丸みを帯びた三角形のスツール。
ロータリーエンジンに使われている三角形です。
座面の中心部はわずかにへこませてあります。
H=435   三角形の頂点から丸みの付いた底辺まで約375、頂点と頂点との長さが約425

材料  ナラ
仕上げ  オイルフィニッシュ

 このスツールの脚も座面を貫通させて上から割りくさびでしっかりと留めてあります。
そのくさび止めの部分は先を座面からわずかに飛び出させた上、小さい丘のように丸めてあります。
 割くさびで脚を固定しているイーゲルハウスの小椅子やスツールの殆どは同じようにほぞの先を飛び出させてその先を丸めた仕上げにしています。
座面と同じ面でほぞの先を削る仕上げと比べるとかなりの手間が掛かります。
どちらにしてもほぞは長めに座面から飛び出させてくさび止めし、接着剤が乾燥後、余分な部分を切ってから仕上げます。
座面と同一の面にする時には大体が鉋で削って仕上げます。
この椅子のようなほぞ先にするには、少し飛び出させてカットした後に座面に傷がつかないように慎重にのみや彫刻刀で丸みを付けていきます。
 ほぞ先に丸みを付けるのはデザイン的な要素だけではなく時間が経過した後のことも考えた上での加工です。
それは、木は湿気で膨らんだり、乾燥してやせたりを繰り返しながらやがて特に厚みや幅の方向でだんだんと痩せていきます。
時間が経って座面が痩せて厚みが薄くなるとほぞの先が飛び出します。
初めに座面と同じ面でほぞの先が削ってあると、ほぞの角が立っている為に触った時に痛いのです。
それが小さな丘のように丸みを付けておいた場合は、ほぞが飛び出した時にも角の角度が大きい為にさほどその角が気にならないのです。
 まあ、同じ面で削ってあっても、飛び出して痛いと思える程になったら再度削って座面と同じにすれば問題はありませんが、なかなかそうなった時に削ってもらう方は少ないと思います。
丸みを付けるのは後々邪魔にならない仕上げということでしょうか。